Science to Supersize Understanding

核時計の試作機がレーザーの周波数を1日以上安定させた

結晶中のトリウム原子核を基準に、光を継続的に補正した。性能はまだ最高水準の光原子時計に及ばない。

編集部作成の模式図。レーザーがトリウムを含むフッ化カルシウム結晶を照らし、検出器が吸収を読み取り、周波数補正をレーザーへ返す。
フィードバックの仕組みを示す独自の模式図。核の吸収がレーザー補正の基準となる。装置の写真や測定結果のグラフではない。
画像: SUPER SCI-Z — original editorial illustration

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SUPER SCI-Z 編集分析

精密な時計には、ずれずに繰り返せるリズムが必要だ。ウィーンとブラウンシュヴァイクの研究者らは、レーザーの周波数をトリウム原子核のエネルギー変化と絶えず比べ、自動的に補正させた。このフィードバックを働かせた核時計の試作機は24時間を超えて動作した。ただし初期性能は最高水準の光原子時計にまだ及ばず、差を縮めることが今後の課題だ。

現在の光原子時計は、原子核の周囲にある電子のエネルギー変化に合わせた光の振動を数える。核時計は代わりに核内部のエネルギー変化を基準にする。トリウム229は特定の核組成を持つトリウムの同位体で、その遷移には波長148ナノメートルの紫外線を使える。これは可視光よりずっと短い波長だ。1ナノメートルは10億分の1メートルである。

Luca Toscani De Col、Thomas Riebner、Ira Morawetzらは、室温でミリメートル規模のフッ化カルシウム結晶にトリウム229を組み込んだ。レーザーの周波数が核の吸収する周波数と一致すると、共鳴が起きる。研究チームは吸収を測ってレーザーのずれを検出し、その情報を送り返して調整した。フィードバックとは、一度だけ調整するのでなく、測定と補正を繰り返す仕組みだ。

簡単に言えば、楽器を基準音に合わせるようなものだ。レーザーは音程がずれ得る音、核は基準、吸収の測定はどちらへ直すべきかを示す。装置は核から直接秒を読み取るわけではない。光を核の周波数に合わせ続け、その光の振動を計時の土台にする。

Nature掲載の論文で、研究者らは安定化した周波数をイッテルビウムイオンに基づく時計と比較した。イオンとは電荷を帯びたイッテルビウム原子で、ここでは別の基準となる。相対不安定度は、一定の測定時間で周波数が相対的にどれだけ変動するかを表す。今回の値は約3 × 10⁻¹²を秒単位の観測時間の平方根で割った割合で下がり、1日後には10⁻¹⁵に近づいた。これは観測期間の安定性であり、数百万年にわたる絶対的な正確さの証明ではない。

同じ装置についてのウィーン工科大学(TU Wien)の機関発表には個人の記者名がなく、基礎物理の検証を将来の用途として挙げている。研究チームは、未確認の物質を想定する超軽量暗黒物質の一部のモデルが予測する周波数の揺れも、20秒から1日の周期で探した。解析は調べたモデルに制約を与えたが、暗黒物質を検出してはいない。最近報告されたほかの核時計は別の実験であり、この結果には含まれない。

証拠が示すのは、核を基準としてレーザー光を1日以上連続して制御できたことだ。精度記録の更新や、航法・通信にすぐ使える装置を示したわけではない。雑音を減らし、より長く周波数を比較して初めて、この構成が最高水準の原子時計の基準と競えるか、物理法則の検証を広げられるかが分かる。

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要点

  • トリウム原子核の吸収を基準に、レーザーを24時間超にわたり連続補正した。
  • 1日積算した相対不安定度は10⁻¹⁵に近づいた。これは安定性であり、絶対的な正確さではない。
  • 一部の暗黒物質モデルを制約したが、暗黒物質は検出していない。
主要資料Nature

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