渡りを早めれば鳥は増えるのか。旅の時期で答えが変わる
549種の鳥について4351件の個体群推定を分析。繁殖前の渡りの前倒しは良好な個体数傾向と関連し、繁殖後は逆の関連を示した。
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渡り鳥の暦は変わりつつある。しかし、早く移動することが一年中同じ意味を持つわけではない。Jin Liu、Wenjing Xu、Richard A. Fuller、Thomas Mueller、Qi Yang、Shaopeng Wangらは世界各地の資料をまとめ、繁殖前の渡りが早まるほど個体数の推移が良好である一方、繁殖後の渡りが早まると不利な推移に関連することを見いだした。研究は10月2日付の学術誌「Nature Ecology & Evolution」に掲載された。
繁殖前の渡りは、鳥がひなを育てる地域へ戻る旅だ。繁殖後の渡りはその地域から離れる旅である。研究チームは549種について4351件の個体群ごとの渡り時期の推定値を集め、個体数の増減傾向、繁殖地と非繁殖地の気候変化の速さと照らした。「個体群」は同じ種の鳥がある地域で暮らす集団を指す。一年を通して鳥の生活を扱う理論モデルも用い、二つの旅の違いを考えた。
分析対象の歴史的資料では、1970年から2019年にかけて渡りの時期が累積で13.86日早まった。これは全体の傾向で、どの個体、種、経路も正確に同じ日数だけ変わったという意味ではない。個体群を比較すると、繁殖前の前倒しが速いほど個体数の傾向は良好だった。繁殖後には逆の関連が見られた。前者の前倒しが後者を上回る場合に全体として最も有利な傾向となり、体の大きい種で関連がより強かった。
この非対称性は、鳥の保全には一年を通じた視点が必要であることを示す。繁殖地とそれ以外の季節を過ごす地域では条件が異なる。研究は時期の変化と個体数の変化を結び付けたが、出発日だけを変えれば個体数が増えるとは証明していない。著者らは同じ研究のデータと解析コードをFigshareに公開した。独立した再現研究ではなく、原著論文の成果の報告者は署名した研究者たちである。
証拠が支持するのは、環境変化への応答を考えるときに渡りの段階を区別することだ。早ければ常に有利という法則や、鳥の行動を変える手段は示されていない。同じ個体群について一年を通じて食物、気候、生存、繁殖を測れば、二つの段階で逆の関連が生じる理由を検証できる。
要点
- 1970~2019年の歴史的資料では、渡りが累積で13.86日早まった。
- 繁殖前の前倒しは個体数の良好な推移と、繁殖後は不利な推移と関連した。
- 観察上の関連は、日付だけを変えれば個体数が増えることの証明ではない。

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